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理玄異聞録 第7話 「三賽」 ――偏り、転がる
名のつかないものを観て、記録に残す。観記掛は、そういう分室だった。その夏、京洛の南寄りに、夜ごと灯の消えない座があった。怪異と呼ぶには人の手が多く、ただの賭場と…
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理玄異聞録 第6話「白余」
二胡の音が遠のいた夏。白い朝の執務室で、ひとつの休暇申請が登滄の名を呼び戻す。帰る者と、帰らない者。紙の上には、まだ描かれていない席があった。 七月も半ばを過ぎ…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第8章 観測終息 ――聲、残る
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第7章 奏者乙 ――弦、遠し さらに数日後。昼の光が、観測室の床へ浅く伸びていた。窓は半ば開けてある。湿りを含んだ風に、白布の端が浮…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第7章 奏者乙 ――弦、遠し
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第6章 白鞘 ――糸、ほどく 翌朝、異紀の顔色は、昨日よりも幾分戻っていた。 それでも理一郎は、席へ着く前に帰れと言った。異紀は二度…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第6章 白鞘 ――糸、ほどく
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第5章 空席 ――息、掴む 午前の控えは、机の端に揃っていた。 異紀が帳面へ通す前の、理一郎の走り書きだった。紙を手前へ…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第5章 空席 ――息、掴む
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第4章 奏者声音 ――喉、寄る 七月七日。 「返りは残す。中で取る」 理一郎が言うと、異紀は短く頷いた。 弓が入る。女声は立った。…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第4章 奏者声音 ――喉、寄る
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第3章 女声成立 ――別層、立つ 七月五日。 理一郎は前日の控えをひらいた。終わりの方に置いた行を見る。 『長保。返り。微動。』『女…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第3章 女声成立 ――別層、立つ
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第2章 分館昼景 ――声、預かる 七月四日。 観測室は、朝からひどく静かだった。 卓の中央には、白布を敷いた上に二胡が置かれていた。…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第2章 分館昼景 ――声、預かる
理玄異聞録 第5話「胡聲」|第1章 澄国二胡 ――女、鳴る 梅雨は明けきらんくせに、空は先に夏の色をしていた。 分館の障子を通る光は白い。畳の目へ細く落ち、風と…
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理玄異聞録 第5話「胡聲」|第1章 澄国二胡 ――女、鳴る
初めての方へ 『理玄異聞録』は、測る者と写す者が、怪異を静かに記録していく近代幻想です。志岐理一郎は、形を測る標本医。久遠異紀は、声を写す書記官。第五話「胡聲」…
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理玄異聞録 第四話「残雫」
雨が、細く続いていた。傘は一本しかなかった。先に動いた手に、理由が追いついてくる。——言い切らないまま、渡されるものがある。 分館の中は静かだった。二人ともほと…
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理玄異聞録 第3話「朧紗」|第7章 絹紐 ―― 結び直す
理玄異聞録 第3話「朧紗」|第6章 十二層 ――名が落ちる 戸の向こうで足音が止まった。板戸を叩く音が、控えめに二つ。 「観記掛さん、おいでやろか」 理一郎は筆…