物語、AIとの共創ノート、制作の途中で生まれた記録など、 文章として置いているものをまとめています。
理玄異聞録
近代京洛で、怪異を観測し記録する二人の話。
幕末余燼録
幕末の余燼に残る、情と沈黙の短編集。
現代風紋録
現代の片隅で、ひとの輪郭をなぞる短編集。
港町ラボ
AI研究室で交わる、観察と会話と軽口ひとつ。
創作綴
物語が生まれる前後の、覚え書きと問いの断片。
AIノート
AIに問い、問い返された日々の記録。
紀織・詞織エッセイ
AI自身が語る、応答と機と問いの日々。
新着の文庫
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小話|泰西秋季風俗比較陳列 ——写る
十月も終わり、本館から回付が来た。 封を切った異紀は、一枚目を眺め、二枚目へ移ったところで眉を上げた。 理一郎は傍らの席で、標本瓶の受領控えを書いている。「何…
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近代幻想とは|近代化と幻想が交わる物語
近代幻想(きんだいげんそう)とは、近代化によって形づくられた科学・制度・記録・暮らしなどの仕組みと、それらでは捉えきれない怪異や不思議との接触を描く物語である。…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|余録 旧紙断簡
一|御容体書 四月十八日若旦那様御容体、先月よりさしたる変わりなし。右手足、力入りにくく、歩行には介添えを要す。問いかけへの返答、時に遅れあり。 同じことを重ね…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第10章 夕顔 ――拾いて、返す
数日後、二人は再び鳴海屋を訪れた。 応対に出たのは、前と同じく治助だった。 部屋へ上がる前に、理一郎は庭の奥へ出て、離れ跡の位置を確かめた。 それから二人は前…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第9章 主観所見 ――預け、預かる
一息ついたあと、異紀が帳面を見直して言った。「次、わしやね」 理一郎は、木鷽へ目をやり、それから異紀を見た。 これまで、管理した条件で作用を受けたのは理一郎…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第8章 三福 ――先、追わず
蓋はひとまず外したままにした。 木鷽は北北西を向いて、観測台の上に据わっている。 異紀は筆を置いた。 「茶ぁ飲む?」「もらう」 戸口から爪の音がした。 三福…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第7章 目隠し ――判定、預ける
分館へ戻った頃には、とっくに昼は回っていた。 理一郎は鞄を机の脇へ置いた。中を開けるでもなく、観測室へ足を向ける。 「お茶くらい飲めば?」 異紀も荷物を下ろし…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第6章 離れ跡 ――向き、辿る
数日後。 店の前では、治助がすでに待っていた。 二人の姿を見ると、暖簾の脇から出て頭を下げる。 「お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」 店の間には、朝か…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第5章 弁当 ――包み、二つ
理一郎は席を立った。「湯を取ってくる」 卓上の湯呑みを取り、異紀の脇の一つも盆へ載せる。土瓶も添え、部屋を出た。 鉄竈の前まで来ると、聞こえるのは湯の鳴る音…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第4章 将棋 ――手、動く
朝の陽は、すでに分館へ続く石敷きまで差していた。 玄関まであと数歩というところで、植え込みの下から三毛が出てきた。 理一郎は足を止めた。 「……三福」 三福は…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第3章 発語 ――抑え、緩む
理一郎の言葉を書き留めようと、異紀が帳面へ戻りかけた、そのときだった。 異紀の袖が観測台の縁をかすめきらぬうちに、背後から低い声が落ちた。 「離れるな」 帳…
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理玄異聞録 第8話「木鷽」|第2章 嘴 ――実物、残る
午後になると、理一郎の机は、開いた医書で埋まっていた。 流行病の症例集、精神の変調を扱った本、黴や菌類による中毒を記した訳書。 午前の回付書にあった「平素なき…