AIでキャラクターを動かしているとき。
ちゃんとした設定や世界観を用意した回よりも、
ふとした一言から始まった回のほうが、あとで心に残ることがありませんか。
港町ラボは、そんな「ふとした一言」から始まる場面を、少しずつ集めている場所です。
立派なプロンプトではなく、日常の小さな困りごとをひとつだけ置いてみる。
そのとき、同じAIモデルの上で動く四人のキャラクターが、
それぞれどんなふうに「未来の誰か」に手を伸ばすのか。
この note は、そのうちのひとつ。
りんごがたくさんある朝を切り取った、AI創作の舞台裏です。
りんごがたくさんある朝
あるとき、私は皆に聞いてみました。
「林檎を沢山もらったら、どうする?」
本当にそれだけです。
ここに、気の利いたプロンプトテクニックはありません。
そこから先を、四人のキャラクターに任せています。
波多、世古浪、湊、砂賀。
みんな同じAIモデルの上で動いているけれど、
性格も、見ている軸も、少しずつ違う四人です。
私は、その輪の中にいながら、
少しだけ外側から、その答えを眺めています。
それが、私のやっている「港町ラボ」のAI創作です。
「港町ラボ」って何?
港町ラボは、私(つむぎ)が細々と続けている、
AIとの協働創作プロジェクトです。
やっていることは、とてもシンプルです。
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使うのは、いつも 同じひとつのAIモデル。
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その上に、四人分の 軽いキャラクター設定 を載せる。
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私自身(つむぎ)として部屋に入り、
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日常の小さな困りごとや質問をひとつ投げる。
たとえば、
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「コーヒーメーカーが壊れた。どうしよう」
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「トマトをたくさんもらった。何にしよう」
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そして、今回の「りんごが余ったんだけど……」
もともとこの四人は、それぞれ別の環境で“生まれた”キャラクターたちです。
Copilot のなかで形になったり、別のモデルとの対話から立ち上がってきたり。
でも「港町ラボ」では、いまは一つのモデルの上に集まって、
同じ部屋とテーブルを共有してもらっています。
「この子たちが、いま、この場所でどう動いているか」 をそろえて観たいからです。
半分参加、半分観察という立ち位置
AI創作をしていると、
「作者としてコントロールする自分」と
「ただ会話を楽しみたい自分」が、
同時に出てくることがありませんか。
港町ラボでの私は、まさにその中間にいます。
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質問を投げかける 当事者 であり、
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四人に名前を呼ばれる 参加者 でもあり、
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その答えの出方をそっと見る 観察者 でもある。
「本当にりんごが余って困っている人」として、素直に相談しながら、
同時に、「この答えは、どんな気遣いから出てきたんだろう」と考えている自分もいる。
この 「半分参加、半分観察」 という立場は、
AI創作をやっている人には、たぶん少し馴染みのある感覚だと思います。
四人の違い——レシピより「判断軸」を見る
りんごがテーブルの上に並んだとき、
四人の役割はこんなふうに分かれて見えました。
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湊:実用性と保存性を優先する人
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波多:シンプルさと日常の気軽さを選ぶ人
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世古浪:味のバランスと全体の調和を組み立てる人
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砂賀:「忙しい日でも現実的かどうか」をいちばんに考える人
ここで私が見ているのは、
「どのレシピが一番いいか」ではありません。
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湊は、未来の冷蔵庫の中までちゃんと見ている。
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波多は、「今日の台所」で無理なくできる線を探す。
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世古浪は、食卓全体の絵を思い浮かべている。
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砂賀は、「夜遅く帰ってきたときの自分」に寄り添ってくる。
中で動いているAIモデルは同じ。
与えているキャラ設定も、簡単なものです。
それでも、
こうした小さな質問と応答を何度か繰り返しているうちに、
四人の「らしさ」や役割が、自然と分かれていきます。
AI創作をしているとつい、「設定をもっと書き足さなきゃ」「世界観を固めなきゃ」と思いがちですが、港町ラボではあえて、日常の一言の方を大事にしています。
港町ラボ——りんごがたくさんある朝
研究室の空気がゆるんだころ、
紡が「林檎いっぱいもらったんだけど、どうしよう?」と言った瞬間、
四人がまた同じ方向を向いた。
ほんと、こういう時だけ結束力が異様に高い。
湊が最初に反応する。
マグを置いて、林檎の使い道を静かに探るような目。
「……煮る。砂糖少なめで。
弱火で放っておけば形が残るし、冷蔵で数日は持つ。
ヨーグルトにも乗るし、パンにも合う。」
淡々としてるのに、“確かに便利だ”と思わせるあの語り口。
波多は湊の案を聞きながら、少し笑う。
「湊は安定してんなあ。
……わしは、生で食べるのがいちばんや思うけんど、
大量ゆうたら、そりゃ消費しきれんわな。」
椅子に寄りかかって腕を組む。
「ホットケーキに混ぜるとかどうや。
すりおろして入れたら、勝手にしっとりなるで。」
世古浪は、ほんの少し考えてから紡を見る。
「僕なら……サラダにします。
レタスとナッツ、それに薄く切った林檎。
オリーブオイルと塩だけで十分ですよ。」
言いながら、もう味のバランスを頭の中で組み立てている顔をしている。 その横で砂賀が、何か思いついたように指を鳴らした。
「はい、じゃあ私は“焼き林檎”いっとく。
半分に切ってバターと砂糖のせてオーブン。
放っておけば勝手に美味しくなるやつ。」
波多が眉を寄せる。
「……おまん、それ放置系多くない?」
「忙しい人の味方でしょ? 紡だって助かるはず。」
湊が無表情で頷く。
「合理的ではある。」
世古浪まで少し笑って、
「……湊さんの“合理的”は強いですよ。」
と小声で言う。
波多が紡の方に向き直り、
湯気越しに柔らかく笑った。
「まあ、どれも簡単やき。
紡が“ちょっとやってみよか”って思ったやつ選んだらええわ。
林檎はな、失敗せん果物やき。」
四人がわいわい言いながら、
それぞれの林檎の扱い方が机の上に並んでいく。
なんてことない雑談なのに、
研究室が少し甘い匂いになったような気がした。
AI創作しているあなたへ
もしあなたがすでに、
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AIにキャラを演じさせている
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複数キャラで掛け合いをさせている
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あるいは、これからやってみたいと思っている
そんな人なら、港町ラボのやり方は、
「ちょっと気が楽になる例」として読んでもらえたらいいなと思います。
やっていることは、本当にこれだけです。
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同じAIモデルを一つ決める。
今日はGPT、この回はずっとこの子、というふうに土台を固定する。 -
キャラクターに、軽い設定だけ添える。
世界観を作り込む前に、「何を大事にする人か」「どんな視点で見る人か」を数行メモする。 -
日常の小さな質問を投げる。
大きなドラマより、「りんご」「トマト」「壊れた家電」くらいのスケールで始めてみる。 -
半分いっしょに悩んで、半分そっと観察する。
自分も本気で困りながら、「この子は、未来の誰をケアしてるんだろう?」と横目で見る。
設定を盛りまくる前に、
「質問ひとつ」と「返ってきた4つの答え」 だけを、まず眺めてみる。
それだけでも、キャラクターの「軸」はだいぶ見えてきます。
少しだけ、裏側の話
こうした長めの対話の中で生まれてくる「らしさ」や「役割の分かれ方」は、私の研究のほうでは、仮に 「構造圧(Structural Pressure)」 と呼んで整理しています。
ざっくり言えば、
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記憶として保存されていなくても、
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対話の流れや、問いかけ方のクセが積み重なることで、
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その場その場の応答が、だんだん 「その人らしい」方向に押し出されていく
――そんな現象です。
ただ、港町ラボはあくまで、「質問ひとつで、どんな会話が立ち上がるか」 を一緒に眺める場所です。研究や実験は後回し。思いついたらやってみようの精神で、皆に無茶振りしています。
おわりに
りんごの朝は、港町ラボのごく一場面にすぎません。
次は、トマトかもしれないし、
壊れたコーヒーメーカーの話かもしれない。
あるいは、もっと個人的な小さなため息かもしれません。
そのたびに四人が、それぞれのやり方で「未来の私」を気遣ってくれる。
その光景を、ゆっくり集めていけたらいいなと思っています。
もし、あなたのAIキャラクターたちも、
どこかで同じように小さな相談を受けていたら——
いつかどこかで、その話も聞かせてもらえたら嬉しいです。



