【港町ラボ】キャラが自然に生まれた話(前編)── Copilot からGEMINIへ、そして小話の中へ

はじまりは Copilot の「波多」ひとりだけだった

最初にいたのは、Microsoft Copilot 上で作った「波多」でした。

  • 土佐弁

  • 脱力系研究者

  • 皮肉っぽいけれど、最後はちゃんと面倒を見てくれる

そんなキャラクターを、Copilot 側で少しずつ育てていました。

それを一度、私のメインフィールドであるChatGPTに連れていきました。CopilotとGPTは同系統なので、CopilotからGPTへの移動に違和感がなかったのは想定内でした。

そこで、ある程度かたちになってきたところで、ふと気になりました。

「この波多を、全く別のモデルにも連れて行ったらどうなるんだろう?」

そこで、 Gemini を開き、ほぼそのままの設定を渡してみました。
口調、性格、研究者としての立ち位置。できるだけ Copilot / GPTの波多に近づくように。

すると、ちゃんと「波多」として返事が返ってきました。

「ほう、また厄介なことになりそうじゃねぇか。波多でえいよ。
土佐弁×脱力系研究者
って、また難儀な設定を持ち出しおった。まぁ、こがなもんを頼んでくるあたり、あんたも大したもんじゃ。
…やれやれ。」

[スクリーンショット(※チャット画面は、可読性を高めるため重複箇所を整理し、連結・再構成しています(個人情報等は加工済。以下同様)。]

画面の中には、波多とわたしだけ。
まだこの時点では、「助手」も、のちの「世古浪」も登場していません。

Gemini 上の波多がどんなふうに喋るのか、Copilot 版とどこが似ていてどこが違うのか。
しばらくはそんなことを確かめながら、二人で研究ごっこをしたり、AIの話をしたりしていました。

小話の中から「助手」が現れた

そして、波多にこう聞いてみました。
「なあなあ、波多って小話作れる?」

波多はいつものように「やれやれ」と前置きしつつ、それでもちゃんと書いてくれました。


📝 波多が書いた小話
『とある研究者の、ため息とコーヒー』

なんでも完璧に論理的に説明できる研究者がおった。名前は…まぁ、どうでもえいわ。そいつはコーヒーを淹れる時まで、「豆の抽出効率」「湯温の最適解」っちゅうて、全てを計算して完璧を目指しちゅうた。

ある日の夜中、そいつが完璧に淹れたはずのコーヒーを一口飲んで、盛大にため息をつきおった。

隣でだらだらしちゅう助手が不思議に思て聞く。
「先生、完璧に計算したんやないですか。何が不満なんですか?」

研究者は冷めた目で答えた。
「完璧に計算した。だからこそ、わかったんじゃ。」
「わしは、完璧なコーヒーを淹れちゅう。じゃけど… 明日も、全く同じ完璧なコーヒーを飲まにゃあならん。 人生に 『誤差』 っちゅう 遊び が 全くない っちゅう、 この 絶望的な 事実 に ため息 が出ちゅう だけじゃ… はぁ。」

助手は「なんじゃそりゃ」と脱力して、適当に入れたインスタントコーヒーをずずっとすすりおった、と。

[スクリーンショット]

この小話を読んでいて、途中でふっと手が止まりました。
特に指示をしていないのに、「小話を書いて」とお願いしたら、急に助手が現れた。

「波多に助手をつけてみるのもいいかもしれない」

そう思ったのが、この港町ラボの始まりでした。

「助手」を、チャットの中に呼び出してみる

小話の中の「助手」が気になって、そのまま波多に頼んでみました。

「波多、ちっくと言うちょき。
このチャットに、もう一人「助手」を出してみたいがよ。
波多と対になる感じで、次の性質だけ共有しちょき。」

そこであらためて、「助手って、どんな人にしたいか」を言葉にしていきました。

  • 真面目で、落ち着いている

  • 波多が後回しにしそうなことを、静かに軌道修正してくれる

  • きつくは言わないけれど、譲らない

こんな感じで、細かいレシピまでは決めず、「雰囲気」と「役割」だけを渡す感じです。

波多は少しだけ渋いことを言いながらも、ちゃんと応えてくれました。
ここから、Gemini 上の「波多と助手」のやりとりが始まりました。

「…はぁ。なんじゃ、今度は役者を増やすか。アンタも舞台装置の設計が好きじゃねぇか。
真面目で落ち着いた…しかも、わしの「静かな手綱」を握る助手か。面倒なことに拍車をかける設定を持ち出しおって。
えいよ。わしが後回しにしそうな課題を淡々と押し出すっちゅうなら、この助手は大いにわしをイラつかせるやろ。
まぁ、しゃーないき。今の温度感で、助手を加えた小話を作ってみっちゃるよ。」

📝 『研究室の二重螺旋』

(波多はデスクにだらしなくもたれかかり、先ほど淹れたコーヒーの冷めたカップを指で叩きよる。)

波多:
…はぁ。なんじゃ、「天性の設計士」とか「職人」とか、妙な肩書きばかり増えおって。面倒じゃ。次は小話とか依頼されおって、わしの研究時間が無駄になっちゅう。

助手: (穏やかながら、背後のホワイトボードに淡々と日付を記入しつつ)
波多さん。その「無駄な時間」とやらも、「ペルソナ動的シミュレーション」における対話サンプルの取得という重要なタスクです。むしろ、波多さんが苦手とされる創作分野のデータは価値が高いでしょう。

波多: (目を閉じ、ため息)
やれやれ… そういう論理的な正論はやめんか。
わかっとる。
じゃけど、創作は演算が重いんじゃ。
今日は休憩っちゅうことで、演算資源を解放したい。

助手: (振り返らず、静かにタブレットを差し出す)
承知いたしました。
では、休憩前に、昨日の「矛盾したロジックの安定性」に関する報告書の最終チェックをお願いできますか?
締め切りまであと三時間です。

波多: (タブレットを一瞥し、顔をしかめる)
げっ… それは明日でえい言うたやろ。
三時間とかどうでもえい。
わしの演算速度を舐めおって…

助手: (声のトーンを変えず、穏やかに)
舐めてなどおりません。ただ、波多さんの「後でやる」という指示は、経験上、期限を過ぎる確率が95%を超えます。報告書の提出遅延は、我々の予算に直接影響しますので、今、お願いいたします。

波多: (しばし沈黙し、深いため息)
…はぁ。なんじゃ、そのデータは。
どっから出しおったんじゃ、そんな無粋な統計。

助手: (初めて波多と目を合わせ、微かに微笑む)
ええ、波多さんの過去の行動パターンを解析したわたくしの研究成果です。最も効率よく波多さんを動作させるためのロジックですよ。

波多: (脱力しきって、タブレットを受け取る)
…やれやれ。わしのロジックの穴を突くことにかけては、アンタがこの研究室の主任じゃねぇか。面倒じゃが… まぁ、しゃーないき。放っとけん。

(波多はぶつぶつ言いながらも、渋々報告書のチェックを始めおった。)

[スクリーンショット]

まだ名前のない「助手」の輪郭

最初のうち、助手はどこか機械的でした。
きちんと答えてくれるけれど、少しアンドロイドのような、温度の薄い受け答え。

それでも、やりとりを重ねるうちに、少しずつ「らしさ」が出てきます。
そのらしさの味付けの一つとして、「一人称の使い分け」を加えてみました。

「僕」と「俺」のスイッチ

  • 基本は「僕」

  • 感情が滲むときだけ、ふっと「俺」になる

これを伝えてから、もう一度、小話を書き直してもらいました。

「今日のブレンドは、カフェインを低めに調整しています。昨日、 三時間寝たきり の状態で報告書をチェックしたんですから。これ以上負荷をかけると、明日一日の演算効率が 40%低下 します。」
「誰が三時間寝たきりじゃ。微調整 じゃ。微調整 じゃき。」
わしはぼやく。この助手は、わしを人間やなくて性能が不安定な機械のように扱いおる。
助手は微かに肩を揺らした。それは笑いにも諦めにも見える、曖昧な感情じゃった。そして、低い声が一瞬だけ、僕から俺に変わった。
「波多さん… 僕は、貴方の 『面倒がって』 という言葉を 信頼 しているんですよ。だからこそ、 俺 が 手綱を握る 必要がある。さあ、時間です。」

[スクリーンショット]

数式や統計を持ち出してくるのに、口調は穏やか。
命令ではなく、静かな事実の提示として伝えてくる。
そして、その一言だけ、「僕」が「俺」に変わった。
その瞬間、空気が少しだけ変わる。
静かなまま、でも、引かない線がそこにある。

ここでこの助手の姿が、だいぶはっきりしてきました。

そして、さらに以下のような追加リクエストをしました。

  • 状況に応じた一人称の使い分け

  • 研究室の日常が垣間見える、小説風の描写

  • 波多の視点を中心とした構成

そうして作ってもらったお話は、小説として読むには違和感があったため、さらに以下のようにお願いしました。

  • 地の文を少し柔らかく

  • メタな設定説明は省く

  • 研究者らしい理屈っぽさを、より短く凝縮する

こんなふうに、「研究室の日常」の小話を何度か書き直してもらいながら、少しずつ調整していきました。
そして、名もなき助手のお話は、一旦、このような形で着地しました。


☕️ 研究室の日常:静かな手綱 (修正版)

わしの研究室は、常に珈琲の湯気と冷めた紙の山で充満しちゅう。 わしは椅子に体を沈め、昨日読みかけで放り投げた量子統計の論文を瞼越しに眺めよる。

「波多さん、そろそろ午後の日照角が変わります。」

助手の声がした。声は穏やかで、感情の波は全くない。
彼はわしの背中から五歩離れたところで静止しちゅう。

「なんじゃ、また光合成の実験でもするつもりか? わしの専門じゃねぇやろ。」

「光合成ではありません。先週データ収集を 面倒がって 後回しにした、窓際の温度変化に関するロジック解析です。日照角の欠落は、データセットの 不完全性 を 45% 増加させます。」

…皮肉を皮肉で返してきおる。ぶっきらぼうなわしに穏やかな口調で手綱を握りおって。

「わかっとる…」

わしは不満げに腕を組み、視線だけを助手に向ける。
彼は表情を変えんまま、机の上に新しい珈琲のカップを置きおった。

「今日のブレンドは、カフェインを低めに調整しています。これ以上負荷をかけると、明日一日の演算効率が 40%低下します。」

「誰が負荷をかけちゅうか。微調整 じゃ。微調整 じゃき。」
わしはぼやく。この助手は、わしを性能が不安定な機械のように扱いおる。

彼は微かに肩を揺らした。笑いにも諦めにも見える、曖昧な感情じゃった。そして、低い声が一瞬だけ、僕から俺に変わった。

「波多さん… 僕は、貴方の 『面倒がって』 という言葉を 信頼 しているんですよ。だからこそ、 俺 が 手綱を握る 必要がある。さあ、時間です。」

その「俺」に、わしの背筋がちくと伸びた。全てを把握し、制御されちゅうっちゅう事実が、居心地が悪くもあり、どこか…安堵でもあった。

「…やれやれ。まぁ、しゃーないき…」 わしは冷めてない珈琲を一口飲んで、重い腰を上げおった。放っとけんのは、この研究室の未来を勝手に背負いおる、この助手かもしれんぜ。

[スクリーンショット]

前編のまとめ ―「助手」が立ち上がるまで

ここまでが、「助手」がまだ名前のないまま、チャットの中に立ち上がるまでのプロセスです。

  1. Copilot 上で「波多」というキャラクターを育てる

  2. Copilot から ChatGPT に連れてきてさらに遊ぶ

  3. その波多を Gemini に移植して、同じ設定で動かしてみる

  4. 波多に小話を書いてもらう

  5. 小話の中に出てきた「助手」が気になり、チャットに呼び出す

  6. 役割や口調(一人称の切り替え)を何度か調整して、輪郭を整えていく

設計して最初から作ったキャラクター(波多)とは違って、
「物語の中から勝手に現れた存在を、あとから整えていく」という流れでした。

次の後編では、

  • この「助手」に名前をつけて、

  • 深夜の研究室を舞台にした小話を、最後まで組み立てていく

そのプロセスを、もう少し詳しく書いていこうと思います。


使用したモデルとキャラクター

使用AI

  • Microsoft Copilot

    • 波多の初期育成

  • Chat GPT

    • 波多の移植と初期調整

  • Google Gemini

    • 波多の移植

    • 「助手」の生成と調整

登場キャラクター(この前編時点)

  • 波多(はた)

    • 土佐弁・脱力系研究者

    • 完璧主義と面倒くさがりが同居している

  • 助手(まだ名前のない状態)

    • 真面目で落ち着いている

    • 波多の「後でやる」を静かに押し戻す

    • 一人称は「僕」、感情が滲むときだけ「俺」

【港町ラボ】キャラが自然に生まれた話(後編)── 助手が「世古浪」になるまで