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理玄異聞録|番外編「七夕、願い事は書くより先に見られている」
執務室の障子が、端まで引かれている。外は夏の朝の白さで、紙の端に湿りが戻っていた。 理一郎は羽織を椅子の背へ掛け、帳面の紐を結び直している。異紀は窓際で、どこか…
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石門 ――古きものに非ず
石のアーチは、木々の奥で冷えていた。 夏の日は梢の上にある。遺構の内側へ入ると、足元の空気が重い。苔の匂いと古い水の気配が、草履の裏へまとわりつく。 理一郎は、…
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理玄異聞録 | 小話「光、走る夜」
啓治二十八年。活動写真を初めて見に行った夜の、小さな記録です。 火鉢の赤が、ぱっと明るなった気がした。異紀が顔を上げて、まるで子どもみたいに目を光らせる。 「……
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理玄異聞録 | 小話「雪の朝」
理一郎と異紀。 ——理(ことわり)と異(ことわざ)が未だ並び立つ時代。 大雪が降った朝。 ただ、それだけ。 観記室の戸の前で、志岐理一郎(しき りいちろう)は…