理玄異聞録| 第8話 オープニングテーマ『如水』107式

またもや、本編より先に、OPができました。
今回もかなりお遊びです。

近代幻想・怪異観測ものの『理玄異聞録』ですが、
この回は、少しだけ調子が跳ねています。

隠せば眠り、露わにすれば口を滑らす。

観記掛に届いたのは、
旧家に伝わる一体の木彫りの鷽。

古い彩色、閉じた箱、ほんのわずかにずれたもの。
普段なら言葉になる前に整えられるものが、
なぜか先にこぼれてしまう。

理一郎と異紀が、観記室の中で木鷽に翻弄される、
頓痴気寄りの検証回です。

曲調とイラストは、まさかのキャバレー調。
本編には一切出てこない赤い幕と灯りで、
木鷽に振り回される空気を、思いきり遊んでいます。


薄明かりに
水の香りが 息をなぞる
指先ひとつ 触れただけで
輪郭が かすかに揺らぐ

数多の 線を追い
こぼれた余韻を すくいとる
声になる前の 震えごと
紙の白さに 沈めていく

理(ことわり)と 異(ことわざ)の あわいで
水面に触れた 雫が
輪郭を ほどき
声だけを 浮かべて
音もなく 写し出す

誰のものでもない 息を
一行だけ 縫いとめる
名もつかない 揺れだけが
まなざしを やどしている

乾ききらない 墨の香りが
水底まで 染みてくる
すくいきれない 囁きが
深く 耳に残る

理(ことわり)と 異(ことわざ)の あわいで
水面に触れた 雫が
輪郭を ほどき
声だけを 残して
静かに 写し取る

誰のものでもない 声を
一行だけ 縫いとめる
記録のひとつに 埋もれても
並び立ち 息づいている


理玄異聞録(りげんいぶんろく)

舞台は、近代幻想。
蒸気機関や解剖学といった「理(ことわり)」が芽吹きながら、
なお「異(ことわざ)」の囁きが影に潜む時代。

標本医・志岐理一郎は、
未知を“形”として測る者。

書記官・久遠異紀は、
理では掬いきれない“声”を写す者。

怪異を退治するのではなく、
観測し、記録し、
なかったことにされそうなものを、紙の上に残していく。

一方が形を測り、
一方が声を写すとき、
記録は初めて完成する。

静かな怪異と、
公的な観測記録と、
名のつかない二人の距離を描く物語です。