今回は完全にお遊びです。
近代幻想・怪異観測ものの『理玄異聞録』ですが、
この回は少しだけ毛色が違います。
表は遊芸、奥で賽が立つ。
観記掛に届いたのは、
夜ごと人の集まる座の、妙な偏りの話。
赤い灯、扇子、賽、夜の気配。
理一郎と異紀が、いつもの観記室から少し外へ出る、
頓痴気寄りの潜入回です。
夢と現の 狭間で
名もないゆらぎが まじりあう
偽りと真の 境をたどり
記憶と忘却の 綾に滲む
刹那と永遠の 糸を
そっと なぞるように
並び立っていた ふたつのまなざし
いまは 同じ深みへ還り
理(ことわり)と 異(ことわざ)の あわいから
ただひとつ 息づいている
理玄異聞録(りげんいぶんろく)
舞台は、近代幻想。
蒸気機関や解剖学といった「理(ことわり)」が芽吹きながら、
なお「異(ことわざ)」の囁きが影に潜む時代。
標本医・志岐理一郎は、
未知を“形”として測る者。
書記官・久遠異紀は、
理では掬いきれない“声”を写す者。
怪異を退治するのではなく、
観測し、記録し、
なかったことにされそうなものを、紙の上に残していく。
一方が形を測り、
一方が声を写すとき、
記録は初めて完成する。
静かな怪異と、
公的な観測記録と、
名のつかない二人の距離を描く物語です。