朧紋051式 大八洲幻影版

夢と現の 狭間で
名もないゆらぎが まじりあう

偽りと真の 境をたどり
記憶と忘却の 綾に滲む

刹那と永遠の 糸を
そっと なぞるように

並び立っていた ふたつのまなざし
いまは 同じ深みへ還り

理(ことわり)と 異(ことわざ)の あわいから
ただひとつ 息づいている


理玄異聞録(りげんいぶんろく)

舞台は近代幻想。
蒸気機関や解剖学といった「理(ことわり)」が芽吹きながら、
なお「異(ことわざ)」の囁きが影に潜む時代。

標本医・志岐理一郎――
因習を背負う家に生まれ、
役目を課されながらも、
冷静なまなざしで未知を“形”として測ろうとする者。

書記官・久遠異紀――
幼き日より“器”として制度に囚われ、
身をすり減らしてきた過去を持ちながら、
それでも自らの意思で「声を記す」道を選んだ者。

一方が形を測り、
一方が声を写すとき、
記録は初めて完成する。

記されなければ、すべては“なかったこと”。
その境界に、二人は淡々と、
ときに緊迫のうちに立ち向かっていく。

幕末余燼録が「火」の物語だとすれば、
理玄異聞録は「水」の物語。

形と声が重なり合うとき、
まだ言葉にならぬ真実が、
静かに浮かび上がる。