※ こちらはThreadsの投稿をまとめて取り込んだ記録です。もともとリプライだったものも一件ずつ並んでいるため、前後がぶつ切りになっていることがあります。ご了承ください。

「……きっちょる、きっちょる」

見えているのは、異紀だけだった。

理一郎は、ただ白鞘を振っている顔をしている。

けれどその刃は、二胡から異紀の喉へ絡んだ糸を、

一本ずつ切っていた。

「ただ振りゆう顔して。

……とんだ御祓い様やねえ」

女の声で鳴る二胡。

その声は、弾き終えても異紀の中に残っていた。

もう一度弾けば、記録は進む。

でも理一郎は、異紀にそれ以上弾かせない。

怪異を祓ったのではない。

たぶん本人は、救ったつもりさえない。

それでも、刃は届いていた。

『理玄異聞録』

第五話「胡聲」

第6章「白鞘 ―― 糸、ほどく」をnoteに置きました。

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